渋谷区は、日本を代表する商業拠点でありながら、松濤や広尾といった高級住宅街から、笹塚などの下町情緒残るエリアまで、多様な顔を持つ街です。単身者からファミリーまで幅広い賃貸需要が見込める一方、家賃相場は間取りや立地によって大きく変動します。
安定した賃貸経営を実現するには、地域ごとの相場を正確に把握し、物件の強みを活かした適正な家賃を設定することが欠かせません。
こちらでは、最新のデータに基づく渋谷区の家賃相場やエリア別の特徴、空室リスクを抑える家賃設定のポイントについて詳しく解説します。
公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会が運営する「ハトマークサイト」のデータ(※)をもとに、渋谷区の最新の家賃相場を確認します。間取りや世帯ごとの平均的な家賃水準と、そこから読み取れる傾向をまとめました。
| 間取り | 徒歩10分以内 | 徒歩11分以上 |
|---|---|---|
| ワンルーム | 14.01万円 | 9.9万円 |
| 1K | 12.62万円 | 10.63万円 |
| 1DK | 16.25万円 | 15.05万円 |
渋谷区の単身者向けマンションの家賃相場は、駅からの徒歩距離によって明確な差が見られます。徒歩10分以内ではワンルームが14.01万円、1Kが12.62万円と、交通利便性の高さがそのまま賃料に反映されています。
一方、徒歩11分以上のワンルームは9.9万円と大幅に下がっています。これは、駅から離れた笹塚や本町エリアなどに点在する築古アパートや専有面積の狭い物件のデータが含まれ、平均を押し下げている可能性が高いと考えられます。単身層は通勤・通学の利便性を重視する傾向が強いため、駅からの距離が賃料に直結しやすいのが特徴です。
| 間取り | 徒歩10分以内 | 徒歩11分以上 |
|---|---|---|
| 1LDK | 24.54万円 | 20.86万円 |
| 2K | 15.93万円 | - |
| 2DK | 17.32万円 | 20.5万円 |
DINKSや二人暮らし向けの家賃相場では、1LDKが徒歩10分以内で24.54万円、徒歩11分以上で20.86万円と、区内全域で高い水準を維持しています。共働きで資金力のある層から、職住近接を叶える設備充実の1LDKが強く支持されている結果と言えるでしょう。
ここで注目したいのは、2DKの徒歩11分以上(20.5万円)が、徒歩10分以内(17.32万円)を上回っている点です。渋谷区には代々木上原や広尾など、駅から少し離れた閑静なエリアに高級住宅街が点在する傾向にあります。立地環境の良さや専有面積が広いリノベーション物件などの条件が組み合わさることで、駅遠であっても高い賃料が成立するケースも珍しくありません。
| 間取り | 徒歩10分以内 | 徒歩11分以上 |
|---|---|---|
| 2LDK | 41.14万円 | 45.33万円 |
| 3K | - | - |
| 3DK | - | - |
| 3LDK | 89.02万円 | 50.17万円 |
| 4K | - | - |
| 4DK | - | - |
| 4LDK | 47.5万円 | - |
ファミリー向けの相場では、3LDKの徒歩10分以内が89.02万円と突出して高額になっています。これは、恵比寿や代官山、松濤といった超高級エリアにおける、富裕層や外国人駐在員向けのハイグレードマンション、億ションクラスの賃貸募集が含まれているためです。
一方で、より広い4LDK(徒歩10分以内)が47.5万円と安くなっているのは、築年数がかなり経過した物件やサンプル数が極端に少ないことによるデータの偏りが影響していると推測されます。ファミリー向け物件は、エリアのブランド力や学区、建物のグレードによって賃料が数百万円単位で跳ね上がることも珍しくありません。
広尾・恵比寿・代官山・松濤周辺は、都内でも屈指のブランド力を誇り、家賃相場もトップクラスの水準を維持しています。松濤や広尾は第一種低層住居専用地域が多く、都心でありながら閑静で緑豊かな住環境が守られています。
主なターゲット層は、企業経営者や外資系企業の役員、富裕層などです。このエリアで高価格帯の賃料を設定するには、単に部屋が広いだけでなく、大型車の駐車スペース、24時間有人管理の高いセキュリティ、大型犬などペット飼育可といった、富裕層特有のニーズを満たす付加価値が求められます。
渋谷区のなかでも、幡ヶ谷・笹塚・本町といった区の北西側エリアは、賃料水準が比較的落ち着いており、コストパフォーマンスを重視する層から人気を集めています。京王線や京王新線を利用して新宿駅まで数分でアクセスできる圧倒的な交通利便性に加え、活気ある商店街やスーパーが充実している点が魅力です。
単身者の初めての一人暮らしから、子育て中のファミリーまで幅広い層の需要が途切れません。ただし、築古の木造アパートなども多く供給過多になりやすい側面もあるため、適切なリフォームや設備投資による競合物件との差別化が空室対策の鍵となります。
適正な家賃を設定するには、周辺にある似たような条件の競合物件を徹底的にリサーチし、自物件の立ち位置を客観的に把握することが重要です。
現代の賃貸市場において、オートロック、宅配ボックス、無料インターネット設備などは「あって当たり前」の必須設備となりつつあります。さらに、リモートワークの定着により、通信速度の安定性や防音性への関心も高まっています。競合物件に不足している設備を自物件に導入することで明確な強みを作り出し、それを賃料に反映させることが収益最大化への近道です。
家賃相場は、周辺の再開発や新築マンションの供給状況、引越しシーズンなど季節ごとの需要によって常に変動します。「数年前にこの金額で決まったから」という過去の成功体験だけで家賃を据え置くのは、空室長期化のリスクを高める原因になります。
不動産ポータルサイト等で現在募集に出ている類似物件の賃料を定期的にチェックし、市場の動向をリアルタイムで追う姿勢が欠かせません。反響が少ない場合は、賃料を下げる前に「敷金・礼金をゼロにする」「フリーレントを付ける」といった初期費用を抑える対策で募集条件を調整するのも有効な手段です。
A. マンション相場の推移は、大手不動産ポータルサイト(SUUMOやLIFULL HOME'Sなど)が公開している市場データや不動産会社のオンライン査定サービスを活用することで確認可能です。
エリア別・間取り別の平均家賃だけでなく、過去数年間の価格変動グラフを提供しているサイトもあります。より正確で実践的なデータが必要な場合は、地域の市場動向に精通した賃貸管理会社へ直接査定を依頼し、プロの目線に基づく最新の募集事例を共有してもらうのが確かな方法です。
A. 周辺相場より高い家賃でも入居者が決まりやすい物件には、ほかの物件では代替できない明確な付加価値が存在します。
たとえば、「駅から徒歩3分以内」「人気の公立小学校の学区内」「築浅で最新のIoT設備が導入されている」「ルーフバルコニーからの眺望が良い」といった要素です。また、デザイン性の高いデザイナーズマンションや楽器相談可、大型ペット飼育可など、特定のニッチなニーズに深く刺さる条件を備えている物件も、賃料を下落させることなく競争力を維持しやすい傾向にあります。
渋谷区で安定したマンション経営を続けるためには、エリアごとの賃料相場とターゲット層のニーズを正確に把握し、所有物件の強みを最大限に活かした適正な家賃設定を行うことが不可欠です。市場動向を無視した賃料設定は、空室期間の長期化や収益の低下を招きます。
家賃設定や空室対策に課題を感じている場合は、都心エリアに強い賃貸管理会社の査定サービスを活用し、プロの客観的なアドバイスを取り入れてみるのがよいでしょう。以下のページでは、渋谷区を含む都心エリアの賃貸管理に強く、オーナーの利益を重視するおすすめの管理会社を紹介していますので、ぜひあわせて参考にしてください。
TonTon※:2025年08月時点・参照元:TonTon公式HP(https://tonton-inc.com/news/notice/3920)
日本財託(※1)2026年1月末時点の販売分入居率・参照元:日本財託公式HP(https://www.nihonzaitaku.co.jp/kanri/)
(※2)2026年2月5日調査時点・参照元:日本財託公式HP(https://www.nihonzaitaku.co.jp/kanri/service/knowhow/)
(※3)2026年2月5日調査時点・参照元:日本財託公式HP(https://www.nihonzaitaku.co.jp/kanri/service/resident/guarantee/)