サブリースとは、オーナーが所有する物件を不動産会社が一括借上げして、入居希望者に又貸しする契約形態のこと。不動産会社は入居者から直接家賃を回収し、オーナーは毎月決まった金額を不動産会社から受け取る仕組みです。
ここでは、サブリース契約に関する基礎知識をまとめています。
空室や滞納があっても一定の収入を得られるサブリース契約ですが、この仕組みを利用する悪徳業者が一部存在します。例えば、「エリアの相場が下がったので家賃を減額する」とオーナーに嘘を伝え、実際には減額した分の差額をサブリース会社が中抜きしていた事例です(※1)。
また、一度サブリース契約を結ぶと、オーナーの都合で途中解約することはできません。消費者庁に寄せられているサブリースに関する相談件数は年間450件以上にものぼります(※2)。
すべてのサブリース会社が不正をしているわけではありませんが、業界全体としてトラブルが多いため「やばい」と言われているのです。
(※1)参照元:東洋経済オンライン(https://toyokeizai.net/articles/-/406695)
(※2)参照元:消費者庁|2020年時点(https://www.caa.go.jp/notice/statement/ito/022426.html)
借地借家法では、賃借人を保護する目的で、賃貸人による一方的な解約が認められていません(※3)。サブリース契約ではオーナーが賃貸人、不動産会社が賃借人となるため、不動産会社の合意を得られない限り解約するのが難しいのです。
ただし、借地借家法で定められているポイントを総合的に判断したうえで、オーナーの主張が正当な理由だと認められた場合は解約できるケースもあります。
(※3)参照元:e-Gov法令検索|借地借家法(https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090)
メリットは、不動産会社にすべての管理業務を任せられる点。家賃保証型のサブリース契約なら、空室や家賃滞納があっても一定額の収入を得られます。また、広告料や原状回復費用を負担してもらえるケースが多く、相続税対策にもなるのが嬉しいポイントです。
一方で、家賃から差し引かれる手数料による収益性の低下、家賃を減額されるリスクなどのデメリットもあります。収益性や経営判断の自由度が制限される点に注意が必要です。
サブリースを解約してから高額売却を狙う方法と、サブリース契約を続けたまま安価で売却する方法があります。
高額売却を狙いたいところですが、サブリースはオーナーの都合で途中解約することが基本的にできないのが問題。サブリース契約を続けたまま売却する場合、契約内容は新しいオーナーに引き継がれてしまうため、買い手が見つかりにくく、通常よりも査定価格が下がってしまうのです。
ここでは、サブリース契約物件が売れにくい理由や途中解約が難しい理由、サブリース物件を売却しやすくする方法、サブリースを解約せずにオーナーチェンジするポイントなどを解説しています。
いずれもオーナーが所有する物件を不動産会社が一括で借り上げ、入居希望者に又貸しする流れを意味する言葉です。厳密には、誰と誰の契約を指す言葉なのか定義されています。
マスターリース | オーナーと不動産会社が結ぶ一括借上げ契約 |
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サブリース | 不動産会社が物件を又貸しする際の入居者との契約 |
ただし、不動産業界で2つの言葉を明確に区別する場面は少なく、オーナーと不動産会社間の契約も「サブリース」と呼ばれるのが一般的です。
営業トークでは、耳触りの良い魅力的な言葉がたくさん出てくる可能性があります。
例えば、「○○年間の家賃保証」と聞くと安心できそうですが、サブリース契約が30年というだけで、契約期間中に家賃や家賃保証額が減額される可能性が。「空室や滞納のリスクがない」と聞くと収入が途切れることがないように感じますが、実際には一定期間家賃保証が適用されないこともあるのです。
「家賃の値下げはありません」という言葉も、数年後に「市場の状況が変わったので…」と言われるかもしれません。そうならないよう、なぜ実現できるのか根拠を徹底的に確認することが大切です。また、口頭のやり取りだけでなく、必ず書面に明記されているか確認しましょう。
サブリース契約に関するトラブルが増えたため、2020年12月15日に施行された法案の通称です。厳密には「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」にある「第3章 特定賃貸借契約の適正化のための措置等」を指します。
トラブルに巻き込まれないためにも内容を把握して、該当する会社に出会った際は国土交通大臣へ報告しましょう。
第二十八条 誇大広告等の禁止 |
サブリース契約に関するウソの広告や大げさな広告は禁止されています。 |
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第二十九条 不当な勧誘等の禁止 |
サブリース契約の重要事項をあえて伝えなかったり、ウソの説明をしたりして契約を結ばせようとする行為は禁止されています。 |
第三十条 重要事項説明の義務化 |
契約を結ぶ前に、法律で決められている大切なことをまとめた書面を渡して、きちんと説明する義務があります。 |
第三十一条 特定賃貸借契約の締結時の書面の交付 |
契約締結時、「物件の情報」「支払う家賃などの条件」「どうやって建物を管理していくか」「契約期間や契約更新、解除の方法」などの内容が書かれた書面を遅れなく渡す必要があります。 |
第三十二条 書類の閲覧 |
サブリース会社は自社の経営状況がわかる書類を用意し、オーナーが求めたら書類を見せなければいけません。 |
第三十三条 指示 |
第二十八条から第三十三条までの規定を破った場合、国土交通大臣は是正のための措置を指示し、その旨を公表します。 |
第三十四条 特定賃貸借契約に関する業務の停止等 |
違反が特にひどい場合や第三十三条の指示に従わない場合、国土交通大臣は1年以内の業務停止命令を出し、その旨を公表します。 |
第三十五条 国土交通大臣に対する申出 |
違反していると思われる会社がある場合、誰でも国土交通大臣に報告することが可能。国土交通大臣は必要な調査を行い、問題があった場合は適切な措置をとります。 |
第三十六条 報告徴収及び立入検査 |
国土交通大臣は、サブリース会社が規定を守っているか確かめるため、報告を求めたり、立ち入り検査をしたり、関係者に質問したりできます。 |
サブリース契約はトラブルが多いですが、中には信頼できる会社も存在します。会社選びさえ間違えなければ、賃貸管理の手間を省いて毎月決まった収入を得られる便利な契約形態です。
サブリース契約を上手に活用したい方は、会社倒産のリスクが低く、サブリース新法を遵守している信頼できる会社を見つけましょう。そのうえで、契約前に契約内容をしっかりと確認して詰めておくことが大切です。
サブリースは、オーナーが所有する物件を不動産会社が一括借り上げし、不動産会社が入居者に又貸しする契約形態。
入居者から家賃を回収するのは不動産会社です。オーナーには実際の家賃より少ないものの、毎月固定の金額が入金されます。実際の家賃とオーナーに入る金額の差額が不動産会社の手間賃です。
一方、管理委託はオーナーと入居者が直接契約を結んで、管理業務だけを外部に委託する仕組み。サブリースのような家賃保証はありませんが、家賃の金額をオーナーが決められる、家賃収入の中抜きがない、オーナーの都合でいつでも解約できる等のメリットがあります。
不動産会社が一括借り上げするサブリース契約は、忙しいオーナーや賃貸経営の知識が少ないオーナーにとって活用しやすい契約形態です。ただし、「全部を任せる=不正やトラブルが起こりやすい」ということを覚えておくことが大切。
サブリース契約を選ぶ際は、信頼できる会社を慎重に選びましょう。
当メディアでは、渋谷区で物件をお持ちのオーナーに向けて、目的別におすすめの賃貸管理会社を紹介しています。管理委託に対応している会社とサブリース契約に対応している会社、どちらも紹介しているので、参考にしてみてください。
※参照元:TonTon公式HP (https://tonton-inc.com/business/management)
※参照元:ルーム・スタイル公式HP|賃貸管理手数料の相場は?金額に幅がある理由と損しないための注意点 (https://roomstyle.co.jp/media/rentalmanagementfee#1-1_5)