家賃滞納リスクは、入居者が期日までに家賃を支払わないことで、オーナーの収入が途絶える状態を指します。不動産経営における収益を左右する大きな要因です。
滞納者が増えたり、滞納期間が長くなったりすると収益が減少する一方で、ローンや固定資産税、保険料、仲介手数料、クリーニング代、修繕費などの経費は変わらず発生します。
支出が収入を上回り、不動産経営が破綻する可能性もあるため、事前に滞納リスクの対策を立てておくことが大切です。
家賃保証サービスは、入居者が家賃を滞納した場合に、オーナーに代わって保証会社が家賃を立て替える仕組みのこと。このサービスを利用すれば、家賃滞納による収入面の不安や、滞納者の対応負担を軽減できます。
ただし、立て替え保証には条件があり、すべてのケースで適用されるわけではありません。契約内容を事前によく確認しておきましょう。また、保証料(保証会社への支払い)は入居者が負担するケースが一般的ですが、オーナーが負担する場合もあります。
ステップを飛ばしてしまうと、トラブルが悪化して長引く可能性が高いため、適切な手順で進めることが大切です。各書類を送付する際は、内容証明郵便を利用すると、法的措置を取る際に証拠として活用できます。
入居者側の原因としては、家賃の支払い忘れ、失業や収入減少等が挙げられます。失業や収入減少は経済情勢が関わるので、完全に防ぐことはできません。しかし、支払い忘れなど、オーナー側からのアプローチで対策できるものもあります。
オーナー側の原因として考えられる内容は次の3つです。
滞納が続くと収入が減少するため、物件の維持管理やローン返済計画にも影響します。家賃収入が減ると物件の資産価値が下がるリスクもあるため注意が必要です。
例えば、収益物件を評価するひとつの指標「収益還元法」では、家賃収入から運営費や管理費を差し引いた純利益を基に評価額を算出します。家賃の滞納や踏み倒しが多い物件は収益が安定しないため、評価額が下がりやすくなるのです。
2025年1月時点の民法によると、家賃や地代の消滅時効は「5年」とされています。これは、家賃の滞納が発生した日から5年が経過した際、入居者が「時効」を主張することで支払い義務を免れる仕組みです。
消滅時効が成立すると、オーナーは滞納家賃を請求できなくなります。滞納していた金額にかかわらず、時効が成立すると滞納金を取り戻せなくなるため、オーナーは滞納者を放置しないように気をつけましょう。
参照元:e-Gov 法令検索「第百六十六条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-Pa_1-Ch_7-Se_3-At_166)
滞納金が時効になるのを防ぐ方法を4つ紹介しています。必要に応じて弁護士や専門家のサポートを受けましょう。
直接または電話で入居者と話し合い、支払い計画や支払いの意思を確認できた場合、その内容を文書に残しておきましょう。滞納者が家賃の一部を支払った、または支払う意思を見せた場合、時効は一度リセットされます。
内容証明郵便は、誰から誰宛にどんな内容を送ったのか証明できるサービス。滞納者に対して内容証明郵便を送ると、「家賃を払ってください」というメッセージを相手に確実に届けられ、支払い義務を伝えた証拠としても活用できます。
滞納している家賃の一部だけでも受け取れた場合、その内容を記録して領収書を発行すれば時効を中断させることが可能です。この際、支払いが家賃に対するものであることを明確に記載してください。
滞納が長期化している場合、裁判所に少額訴訟(60万円以下の請求)や通常訴訟を提起し、法的に請求することが効果的です。請求権を行使して、時効の進行を止めましょう。
裁判で勝訴すると、裁判所は「相手は〇円を支払う義務がある」と認めた判決を出します。それでも相手が支払わない場合、裁判所を通じて強制的に回収を進める手続き(強制執行)を進めます。
家賃滞納が起きた場合、感情的になりすぎて相手を責めたり、無理に直接会って支払いを要求したりするのはやめましょう。
特に、大声で非難したり、入居者のプライバシーを侵害したりする行動は、法律に触れる恐れがあります。たとえ相手が悪いとしても、スムーズに家賃を回収するためには冷静な対応が必要です。
また、滞納が発生しているのに何もせず放置するのもNGです。時効で家賃の請求権を失うことがあるため、そうならないよう早めの対応を心がけましょう。
あるオフィスビルの賃貸人は、テナントが約200万円の家賃を滞納し、経営状況も悪化しているという課題を抱えていました。この状況を解決するため、賃貸人は弁護士に依頼し、内容証明郵便を送付して交渉を開始。
その結果、テナントは2ヶ月以内の退去に合意し、滞納賃料も8ヶ月間の分割払いで全額回収できました。
ある賃貸オーナーは、入居者が家賃を12か月分滞納し、連絡も取れないという深刻な問題を抱えていました。オーナーは弁護士に相談し、訴訟を提起。
その結果、入居者との間で明け渡しと滞納家賃の分割払いに関する和解が成立し、3か月で物件の明け渡しが実現しました。さらに、連帯保証人から滞納家賃全額を回収することに成功しています。
渋谷区単体の家賃滞納率は公開されていません。代わりに、日本賃貸住宅管理協会(略称:日管協)のサイトで、渋谷区を含む首都圏の1か月滞納率を確認できます。
2023年度の調査によると、首都圏の1か月滞納率は1.0%、全国平均は1.2%、関西圏は0.7%でした(※滞納率には家賃債務保証会社が代位弁済した戸数も含む)。
また、同調査によると「保証会社の利用を必須にしている」と回答した首都圏の賃貸管理会社の割合は93.8%でした。これは、2020年4月1日に施行された民法改正によって、親族や知人が無制限の責任を負う連帯保証人を立てることが難しくなった影響だと考えられます。
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査対象:日本賃貸住宅管理協会会員(賃貸住宅管理会社)
調査対象期間:2023年4月~2024年3月
調査時期:2024年7月~8月
回答数:1,989社(管理会社)中699社(回答率35.1%)
賃貸経営の滞納リスクは、入居者側の問題だけではありません。オーナー側にもできることが沢山あります。リスクを想定して準備をしつつ、滞納が発生したときは以下の対応を進めましょう。
また、滞納を未然に防ぐための方法としては、入居審査を強化する、入居者とのコミュニケーションを増やす、修繕や設備などの管理を徹底して入居者の不満が溜まらないようにすることが大切です。
当メディアでは、渋谷区で物件をお持ちのオーナーに向けて、目的別におすすめの賃貸管理会社を紹介しています。入居者の満足度を高める管理業務の代行や、滞納リスク対策を実施している会社も紹介しているので、参考にしてみてください。
※参照元:TonTon公式HP (https://tonton-inc.com/business/management)
※参照元:ルーム・スタイル公式HP|賃貸管理手数料の相場は?金額に幅がある理由と損しないための注意点 (https://roomstyle.co.jp/media/rentalmanagementfee#1-1_5)