不動産経営における家賃下落リスクとは、物件の家賃が下がる可能性のことです。
特に渋谷区は東京の中心部に位置する人気エリアですが、再開発が盛んで新しい物件が次々と誕生しており、競合物件との比較で賃料が下落するリスクも無視できません。
不動産経営の収入源は「家賃」。多くのオーナーは、ローン返済や老後資金の計画を立てる際、家賃収入をあてにしています。ところが、購入時点で見込んでいた家賃が下がるとどうなるでしょうか。ローン返済に支障が出る、老後の生活資金が不足するなど、様々な影響を受ける可能性があるのです。
ここでは家賃下落リスクの原因や対策をまとめているので、賃貸経営を始めるオーナーは参考にしてみてください。
渋谷区のような都心エリアでも、物件の老朽化や競合状況によっては家賃が下落するケースが見受けられます。
物件に新しい付加価値をつける施策を実施することで、家賃を下げなくても入居者を集めることが可能です。
渋谷区内の物件の場合は、若年層からファミリー層まで幅広い需要を取り込むために、居住性だけでなくデザイン性や利便性への投資も重要になります。
経年劣化や外的要因など、避けられないものが多いため、家賃下落が起こる前提で収支計画を立てることが大切です。
渋谷区の場合でも、開発が進む一方で周辺エリアに魅力的な新築物件が増えるなど、競争が激しくなる要因があります。
賃貸住宅の家賃下落率は、所有している物件に何らかの問題があるのか、周辺エリア全体で家賃が下がっている傾向にあるのか、家賃下落の原因を特定する判断材料になります。家賃下落率を把握したい方は、以下の方法を組み合わせてみてください。
全国賃貸管理ビジネス協会は、定期的に全国の家賃動向を調査し、間取り別の賃料推移を公開しています。これらのデータを参照すれば、地域や物件タイプごとの家賃下落傾向を把握することが可能です。
参照元:全国賃貸管理ビジネス協会|全国家賃動向(https://www.pbn.jp/yachin/)
不動産情報サイトや地元の不動産会社の資料を活用して、所有物件がある地域の家賃相場を調べましょう。同じエリアにある同じ間取りの物件データを参考にして、過去から現在までの家賃推移を分析するのがベター。
現在の家賃が適正かどうか判断できるほか、将来的な予測も立てやすくなります。
渋谷区内はエリアによって相場や競合状況が大きく変わるので、細かいエリア特性を踏まえた相場チェックが重要です。
三井住友トラスト基礎研究所が公開している資料では、新築時の賃貸マンションの家賃を100%としたときの築年数に応じた家賃下落率が公開されています。
コンパクトタイプ(30㎡以上60㎡未満)は築10年で約81%、築20年で約78%、シングルタイプ(18㎡以上30㎡未満)は築10年で約89%、築20年で約83%という結果でした。
部屋の広さを問わず、築3年目から10年目までの期間が大きく下落しやすいようです。逆に築11年目から20年目にかけての期間は、家賃の下落幅がゆるやかな傾向にあります。
全国賃貸管理ビジネス協会が公表している2025年1月の調査データによると、家賃下落率が最も高いエリアは栃木県(総平均賃料の前年同月比:-3.6%)、次いで三重県(総平均賃料の前年同月比:-2.9%)、新潟県(総平均賃料の前年同月比:-1.5%)となっています。
地方の中小都市や過疎化が進む地域では、働ける場所や若者が少ないため、人口減少が進み、結果として家賃下落リスクが高くなっているのでしょう。
一方、都心は、継続的な開発と人口流入が見込まれるため、家賃下落リスクは低い傾向にあります。
渋谷区も都心エリアのひとつとして安定した需要が期待できるものの、物件の老朽化や設備面の差により個別物件での下落リスクはあり得るので注意が必要です。
参照元:全国賃貸管理ビジネス協会|全国家賃動向(https://www.pbn.jp/yachin/)
築30年のRC造マンションを所有するオーナーの事例です。周辺相場よりも低い家賃でありながら空室が5部屋あり、さらなる値下げが困難な状況に直面していました。現状の家賃で価値を感じてもらうべく、賃貸管理会社へ相談。
ターゲットとなる入居者層を明確にし、高速インターネット環境(Wi-Fi)の無料提供、防犯カメラの設置やオートロックの強化、清潔感のある内装のリフォームなどの施策を実施。
その結果、家賃を下げることなく空室5部屋をすべて埋めることに成功しています。
渋谷区でも同様に、ターゲットをビジネスパーソンや若者、ファミリーなどに絞り込んだ設備投資・管理施策によって、下落しがちな家賃を維持しながら空室を埋める例が多数報告されています。
家賃下落率には、地域や物件の特性、周辺環境や経済状況など、様々な要因が絡んでいます。そのため、所有物件があるエリアの開発計画、人口動態、最新の市場データなどを継続的にモニタリングして、予測を立てることが大切です。
2025年1月までに公開された全国賃貸管理ビジネス協会の家賃下落率推移データを踏まえると、人口減少が進む地方都市では今後も家賃下落率が高くなり、賃貸需要が高い都市部では家賃下落率が低くなると予測できるでしょう。
渋谷区は再開発計画や商業施設の拡充により、賃貸需要の維持・増加が見込まれますが、築年数・設備面の遅れや立地条件によっては家賃が下落する可能性があるので注意が必要です。
参照元:全国賃貸管理ビジネス協会|全国家賃動向(https://www.pbn.jp/yachin/)
賃貸経営において避けては通れない家賃下落リスク。家賃を下げないと入居希望者が集まらず、空室が増え、収入に影響する可能性もあります。大切なのは、最初から家賃下落が起こる前提で収支計画を立て、原因に応じた対策を実施できるように準備しておくことです。
当メディアでは、渋谷区で物件をお持ちのオーナーに向けて、目的別におすすめの賃貸管理会社を紹介しています。空室対策や市場調査を賃貸管理会社に依頼することで、家賃の下落を防ぐための的確なアドバイスを受けられるので、是非チェックしてみてください。
※参照元:TonTon公式HP (https://tonton-inc.com/business/management)
※参照元:ルーム・スタイル公式HP|賃貸管理手数料の相場は?金額に幅がある理由と損しないための注意点 (https://roomstyle.co.jp/media/rentalmanagementfee#1-1_5)